本作が放送当時に大きな話題を呼んだ最大の要因は、映画界のトップ俳優たちをゲスト声優として起用した点にある。伝説の殺し屋・コンドウ役を演じた香川照之と、事件のカギを握る女性・水嶋香苗役の広末涼子。ふたりが吹き込んだリアルな声のテクスチャーは、従来のアニメーション表現に実写映画のような手触りをもたらした。
アニメ声優特有のディフォルメされた発声とは一線を画し、抑制の効いた低音やリアルな間合いを保つ彼らの芝居。そこに長年コナンを演じ続けてきた高山みなみの洗練された演技が衝突することで、極上の推理サスペンス空間が生み出された。ゲスト声優の選定にあたっては「アニメに寄り添いすぎず、ドラマの緊張感をそのまま持ち込める役者」が厳選されたという。その狙いは見事的中し、劇中の静かな対峙シーンに異様な恐怖感と凄みを与えている。