2026年の大分市美術館が打ち出した最大の目玉は、展示室の壁を飛び越えた空間体験だ。一歩足を踏み入れると、巨大なスクリーンの映像ではなく、光と音、そしてほのかな樹木の香りが空間全体を包み込む。かつて静寂を保つことが絶対条件だった美術館の常識を心地よく裏切り、来館者の動きに反応して刻一刻と変化するアートワークが展開されている。
特に話題を集めているのが、地元・大分の自然環境や歴史的素材をデジタル処理によって昇華させた大型作品だ。足元でうごめく光の波紋を追いかける子供たちの歓声と、真剣な眼差しで仕掛けを観察する大人たちの姿。年齢や国籍を超えて、誰もが作品の一部になれる仕掛けが、ここには用意されている。