21世紀におけるコンクール体験のあり方を決定づけたのは、徹底したデジタル配信戦略に他ならない。公式YouTubeチャンネルやmedici.tvによる全ステージの高画質・高音質ストリーミング中継は、ワルシャワのフィルハーモニー・ホールと世界中のリビングルームをダイレクトに結びつけた。
深夜まで及ぶ審査の模様をリアルタイムで追体験し、SNS上では世界各国のリスナーが贔屓のピアニストについて熱い議論を交わす。演奏直後のバックステージで見せる安堵の涙や張り詰めた表情まで克明に映し出される映像体験は、クラシック音楽業界に前例のないバイラル効果をもたらした。さらにNHKをはじめとするメディアが綿密なドキュメンタリー番組を制作・放映することで、音楽ファンの枠を越えた社会現象へと押し上げる原動力となっている。