国際アート市場において、杉本博司の作品は常にトップクラスの取引額を誇ります。クリスティーズやサザビーズといった世界的オークションハウスでは、代表作『海景(Seascapes)』の大型プリントが100万ドル(約1億5,000万円以上)を超える価格で落札されるケースも珍しくありません。
デジタル全盛の時代にあって、杉本は一貫して8×10インチの大判フィルムカメラ(大型ビューカメラ)と、伝統的なゼラチン・シルバー・プリント(銀塩写真)による手焼き現像にこだわり抜いています。極限まで粒子を細かく焼き付けたモノクロームの階調は、黒と白の間に無限のグレーの階層が存在することを見る者に突きつけます。
彼の作品が高額で取引される理由は、単なる希少性だけではありません。杉本が提示しているのは「写真の技術」ではなく、「人間が世界を認識する構造そのもの」を問う哲学的なコンセプトです。世界の美術館やトップコレクターは、作品を通じて「永遠と時間」という普遍的なテーマを所有していると評価しています。