風情あふれる温泉街散策を語る上で欠かせないのが、この地を深く愛した文化人たちの足跡だ。明治から大正にかけて、歌人の与謝野晶子は伊香保の情緒を短歌に詠み込み、その美しい景観を絶賛した。石段の途中には、彼女の歌が刻まれた銘板が埋め込まれており、歩く足をとめて言葉の調べに耳を澄ませる観光客の姿が絶えない。
また、抒情画の巨匠・竹久夢二もまた、伊香保の自然と哀愁に心寄せた一人である。彼の作品に描かれた女性たちの儚げで繊細な佇まいは、どこか霧に包まれた石段街の雰囲気に重なる。現在も街の各所にその面影が残り、アートと歴史が交差する独特のロマンが漂っている。