ブランドの設立者であり、今なお第一線でシーンを牽引するデザイナー川久保玲。彼女が構築した独創的な世界観が、最も色濃く反映されている場所がまさにここである。株式会社コム デ ギャルソンの本拠地とも言えるこの旗艦店は、一般的な商業店舗のような単なる「服を売る場」ではない。建築家との協働によって生まれた傾斜したガラスのファサードや、無機質でありながら有機的な鼓動を感じさせる店内レイアウトは、訪れる者すべてに強い視覚的インパクトを与える。
ここで提示される服たちは、既成概念を破壊し続けるアヴァンギャルドな思想の産物だ。立体裁断や歪んだシルエット、黒を基調とした重厚なマテリアル。これらが緻密に計算された照明のもとに鎮座する様は、まるで現代美術館のギャラリーを見ているかのようだ。世界中のモード・ファッションの歴史において、これほどまでに強固な美学を貫き通している実店舗は稀有と言っていい。