なぜ、これほどまでに安全で快適な現代社会において、あえて危険を冒すのか。心理学者や行動科学者は、現代社会の「過剰な安全性」がもたらす副作用を指摘する。アルゴリズムが行動を予測し、リスクが徹底的に排除された生活は、人々に深い精神的摩耗をもたらすことがある。
特にZ世代やアルファ世代の若者たちの間で、都市の喧騒を離れて極限の自然に身を置く動きが加速している。SNSのタイムラインに流れる完璧に編集された情報に囲まれて育った彼らは、一切の誤魔化しが効かない自然の理(ことわり)に直面したとき、強烈な生のリアリティを感じるという。凍えるような暴風雪の中で暖を取ること、自分の足だけで数百キロを走破すること。そこには、デジタル世界では絶対に味わえない確かな手応えが存在する。