Googleマップ上で自分の居場所を示す「青い丸」が実際の場所と大きくズレる、あるいは勝手に別の場所へ飛んでしまう現象には、明確な技術的背景が存在します。単なるアプリの不具合と決めつける前に、まずは端末と電波環境で何が起きているのかを把握することが解決への近道です。
最大の要因として挙げられるのが、衛星電波(GNSS/GPS)の受信障害とマルチパス現象です。周囲を高層ビルやタワーマンションに囲まれた都市部、あるいは地下街や屋内にいる場合、空からの衛星電波が遮断されるだけでなく、ガラスやコンクリート壁に反射した遅延電波を拾ってしまい、位置が数十メートルから数百メートル単位で狂うケースが頻発します。
2つ目は、Wi-Fi測位および基地局測位のアシスト不足です。スマートフォンは衛星電波だけでなく、周囲に飛んでいるWi-Fiアクセスポイントの電波強度やモバイル通信基地局の情報を組み合わせて現在地をミリ秒単位で特定しています。Wi-Fi機能を完全にオフにしていたり、機内モードのオン・オフ直後だったりすると、測位精度は大幅に低下します。
3つ目は、端末OSによるバッテリー最適化(省電力機能)の過剰な介入です。近年のiOSやAndroidはバッテリー持ちを最優先するため、バックグラウンドでのGPS取得頻度を抑えたり、位置情報センサーへの電力供給を一時的に絞る制御を行います。これにより「現在地が前の場所から固定されて動かない」「画面を開いた瞬間に現在地が勝手に変わる」といった挙動が発生します。
4つ目は、地磁気センサー(電子コンパス)の磁気干渉です。青い丸から伸びる扇状の光(ビーム)が明後日の方向を向いている場合、スマホケースのマグネット留め具や周辺の金属構造物によって内部センサーのキャリブレーションが狂っていることが大半です。