彼女の死後、象徴的な桃色と緑色の蝶柄の羽織は妹のしのぶへと受け継がれた。しかし、受け継がれたのは羽織という形ある遺品だけではない。そこには、姉の遺志を継ごうと苦悩するしのぶの葛藤と、激しい憎悪の念が渦巻いていた。
「鬼と仲良くする」という姉の遺志を表面上はなぞりながらも、心の中では鬼への激しい怒りを燃やし続けたしのぶ。対照的に、感情を喪失していたカナヲは、コインを投げて自分の意思を決めるという教えを通じて、自らの意志で戦う意味を見出していく。一人の女性が遺した温かな思い出が、残された二人の少女の運命を正反対の方向へと突き動かしていくプロットの巧みさは、今なお多くの批評家から高い評価を受けている。