開発段階において最も議論が重ねられたのは、地域漁業との利害調整だった。観光船の就航が漁場を荒らすのではないかという初期の懸念は、結果として完全に払拭された。なぜなら、この取り組み自体が地元の漁業組合と密接に連携し、売上の一部を直接「沿岸漁場の保全基金」および「稚魚の放流事業」へと還流させる仕組みを構築したからだ。
船内で提供される軽食やドリンクには、地元の若手農家や漁師が手掛けたオーガニックな素材がふんだんに使われている。観光客が海を楽しみ、乗船料を支払うことで、巡り巡って地元の海が豊かになり、一次産業に従事する人々の生活が潤う。この健全で強固な地域経済循環モデルは、地方創生の優良事例として行政からも高い評価を得ている。