本村氏の戦いは、メディアのあり方やドキュメンタリーの世界にも深甚な影響を与えた。事件直後から彼を長年密着取材し続けたジャーナリスト・門田隆将氏によるノンフィクション『なぜ君は絶望と闘えたのか』は、単なる法廷記録を超え、一人の人間が極限の苦悩と闘い抜いた記録として大きな反響を呼んだ。
同作を原作としたWOWOWのドラマW(ノンフィクション・法廷ドキュメンタリードラマ)は、文化庁芸術祭大賞を受賞するなど高い評価を獲得。世論の共感を広げ、制度改革を後押しする文化的起爆剤となった。メディアが消費しがちな「被害者の涙」の裏にある、知られざる孤独や葛藤、そして理性を保ち続けるための凄絶な自己規律が、人々の胸を深く打った。