旅行口コミサイトやSNS上の評価を定点観測すると、萬福寺に対する感想には明確な特徴が見て取れます。肯定的な意見の大多数は「日本にいることを忘れるほどのスケール感」「観光客でごった返す京都市内の喧騒から離れ、静寂のなかで建築をじっくり鑑賞できる」という点に集中しています。
一方で、ごく一部に見られる不満の声として「いわゆる京都らしい苔庭や数寄屋風の落ち着きを期待していたため、イメージと違った」というミスマッチが挙げられます。これは萬福寺が「中国文化そのものを移植した空間」であるという前提知識を持たずに訪れたことによるギャップです。
また、ネット上では「写真撮影のための映えスポット」としての側面ばかりが誇張される傾向がありますが、萬福寺は現在も僧侶たちが中国語の発音に近い梵唄(ぼんばい)を唱え、厳格な日課に従って生活する現役屈指の修行道場です。単なるアミューズメント的な視点だけでなく、東アジアの精神文化が息づく生きた信仰空間として捉えることで、見学の解像度は劇的に上がります。