神戸における餃子文化の最大の特徴といえば、小皿に取った濃厚な味噌ダレに餃子をくぐらせて食すスタイルです。一般的な醤油・酢・ラー油の組み合わせとは一線を画すこの食べ方を発案したのが、元祖ぎょうざ苑の創業者・馮昆旺(ひょう こんおう)氏でした。
戦前、中国北部(旧満州)に滞在していた創業者が、現地で親しまれていた大豆発酵調味料(味噌)ベースのタレをヒントに、日本人の味覚に合うよう赤味噌を主軸とした秘伝ダレを独自開発したのがすべての始まりです。当時の日本では餃子自体がまだ珍しかった時代に、「日本の食卓に馴染み深い味噌と餃子を融合させる」という画期的な試みは、瞬く間に港町・神戸の人々の胃袋を掴みました。
さらに特筆すべきは、餃子の餡そのものに込められたこだわりです。元祖ぎょうざ苑の餡には、厳選された国産豚肉に加えて「神戸牛(神戸ビーフ)」が贅沢に練り込まれています。豚肉のジューシーな旨味に牛の上質なコクと甘みが加わることで、濃厚な味噌ダレに負けない力強い味わいの骨格が生まれます。香ばしいピーナッツオイル(落花生油)でパリッと焼き上げる伝統の調理法と相まって、一口噛めば他店では味わえない芳醇な風味が口いっぱいに広がります。