胸部X線Kerley B Linesの正体|心不全と読影の急所

胸部X線Kerley B Linesの正体|心不全と読影の急所

胸部X線Kerley B Linesの正体|心不全と読影の急所の注目ポイントを分かりやすくまとめてご紹介します。

心不全に伴う肺の病態変化は、肺静脈圧の上昇度合いに応じて段階的に進行します。胸部レントゲン読影においては、Kerley B lines単体を探すだけでなく、他のX線所見と組み合わせた「ステージ評価」を行うことが診断の確度を高めます。

肺うっ血の進行段階は大きく3つのフェーズに分かれます。

第1段階:血管再配分(Cephalization / 上肺野血管影の怒張)
肺静脈圧が軽度上昇(12〜17 mmHg程度)すると、立位では本来細いはずの上肺野の肺動脈・静脈が拡張し、下肺野の血管と同等以上の太さに見えるようになります。

第2段階:間質性肺浮腫(Kerley B linesの出現期)
圧がさらに上昇(18〜25 mmHg程度)すると、水分が血管外の間質へと漏出します。ここで下肺野にKerley B linesが鮮明に出現するほか、気管支壁の肥厚を示す「気管支周囲袖徴候(peribronchial cuffing)」や、肺門の輪郭がぼやける「肺門部不鮮明化(hilar haze)」が伴います。

第3段階:肺胞性浮腫(重篤な呼吸不全状態)
圧が25 mmHgを超えると、間質の許容量を超えた水分が肺胞内へ溢れ出します。肺門部を中心に両側へ蝶の羽のように広がるバタフライシャドウ(butterfly shadow / 蝶形陰影)が形成され、重度の低酸素血症に陥ります。同時に肋骨横隔膜角の鈍化を伴う胸水貯留も顕著になります。

心胸郭比(CTR)が50%を超える心拡大の有無とあわせてこれらの所見を追うことで、心不全の重症度と治療介入の緊急性を即座に判断できます。

池田 達也
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池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。