長年彼女を指導するコーチは、世間の「天才」という評価に苦笑いを浮かべる。リンクに誰よりも早く現れ、誰よりも遅く去る。納得がいくまで同じ軌道を何十回、何百回と描き続ける泥臭さこそが、彼女の真骨頂だからだ。「凜は天才なんかじゃない。泥臭い努力を苦とも思わない、恐ろしいほどの探求心を持っているだけだ」と周囲は声を揃える。
リンクを離れれば、音楽を愛し、写真を撮るごく普通の若者だ。しかし、ひとたびブレードが氷に触れた瞬間、眼光は鋭いアスリートのそれに変わる。このオンとオフの鮮烈な切り替えもまた、彼女の集中力を支える重要な要素となっている。