人の心に根付いた観念の恐ろしさと魅力を象徴的に表現した名作が、クリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』だ。他人の夢の中に侵入し、ターゲットの潜在意識の奥深くに「ひとつの観念(アイデア)」を植え付けるという奇想天外なミッションを描いている。
劇中で示される通り、外から無理やり押し付けられた考えは容易に排除されるが、自分自身の内側から芽生えたと錯覚した観念は、まるで寄生虫のように心の深層に根を張り、その人の人生全般を支配するようになる。私たちが日常で抱く思い込みも、知らず知らずのうちに他者や環境によって植え付けられた観念かもしれない。