SNSやネット掲示板、創作物などの影響により、「森羅万象」という言葉に「超常的な力ですべてを意のままに操る」といったオカルト的・全能的なイメージを抱く人が散見されます。アニメやゲームの必殺技名などで「森羅万象を断つ」「森羅万象を統べる」といった誇張表現が多用されることがその一因です。
しかし、本来の日本語・東洋哲学において、人間が「森羅万象を支配する」「森羅万象をコントロールする」という文脈は成立しません。人間自身もまた、広大な森羅万象というシステムの中の「ほんの小さな構成要素(一葉)」に過ぎないからです。
認知心理学の観点からも、壮大すぎる語彙を自分主導の文脈で多用する傾向は、「コントロール幻想(Illusion of Control)」や誇大自己の表れと受け取られやすく、聞き手に対して無意識の警戒心を抱かせるリスクがあります。言葉の真の重みを知るビジネスパーソンほど、「森羅万象を前にした自己の有限性」を自覚した語り口を選択しています。