ドライバーの間で根強く残る誤解の一つに、「自分は優先道路を走っていたのだから、事故になっても過失はゼロ(10対0)になるはずだ」というものがあります。しかし、実際の損害賠償実務や裁判基準(判例タイムズ等)において、優先道路上の交差点事故で過失割合が「0:100」になるケースは極めて限定的です。
信号機のない交差点において、優先道路車と非優先道路車が出合い頭に衝突した場合、基本過失割合は「優先側 10% : 非優先側 90%」からスタートします。優先道路側にも10%の過失が割り振られる理由は、道路交通法第70条が定める「安全運転義務」があるためです。交差点に差し掛かる以上、予見可能な危険に対して適切な回避行動を取る義務が課せられています。
道路交通法第42条により、優先道路を通行している車両には、左右の見通しがきかない交差点であっても優先道路における徐行義務が免除されています。しかし、徐行義務がないことと安全確認義務の免除はまったくの別問題です。
もし優先道路側のドライバーに「時速15km以上の速度超過」「脇見運転」「スマートフォンの注視」などの過失(著しい過失・重過失)が認められた場合、過失割合は20%〜30%へと加算されます。逆に、非優先道路側が明らかな一時停止無視や飛び出しを行い、優先側が回避不能であったことがドライブレコーダー等で証明された場合に限り、例外的に「0:100」の判断が下される構造になっています。