インターネット上のQ&AサイトやSNSでは、「ひかりは通過待ちばかりでこだまと変わらない」「ひかりに乗るのは損だ」という極端な言説が散見されます。しかし、これは実態を見誤った典型的な誤解です。
かつての国鉄時代や初期の新幹線ダイヤと異なり、現在の東海道・山陽新幹線ひかりは、車両性能そのものは最新鋭のN700SやN700Aで完全に統一されています。直線区間での最高速度285km/h運転は「のぞみ」と寸分違わず行われており、走行中のスピード自体が遅いわけではありません。
所要時間の差を生んでいるのは「停車駅の数」と「のぞみの通過待ち(待避)時間」だけです。特に岡山直通系統のひかりは、東京〜新大阪間の待避回数が最小限(通常1回程度)に抑えられており、わずか2時間53分で走破します。途中で複数回にわたり5分前後の待避停車を繰り返す「こだま」(約4時間)とは、実態として全く別の乗り物です。
もう一つの危険な盲点は、「すべてのひかりが静岡駅に止まる」という思い込みです。出張帰りのビジネスパーソンが、名古屋駅で「東京行きひかり」のアナウンスを聞いて飛び乗ったところ、次の停車駅が新横浜で、商談予定だった静岡駅を一瞬で通過してしまったというトラブルは後を絶ちません。車体側面のフルカラーLED行先表示器や駅の案内モニターには必ず停車駅が表示されているため、「ひかり=静岡停車」という固定観念を捨てる必要があります。