石垣牛が黒毛和牛の最高峰と称される背景には、独自の気候条件と長い肥育の歴史があります。もともと八重山地域は子牛を産ませて育てる繁殖が盛んで、生まれた素牛(もとうし)は松阪牛や神戸牛といった本土の有名ブランド牛の産地へと出荷されていました。つまり、全国の名だたる高級和牛のルーツは八重山の血統にあったのです。
転機となったのは、島内でそのまま出荷まで手塩にかけて育てる「八重山肥育」の確立です。南国の温暖な気候は牛に寒冷ストレスを与えず、筋肉が適度にリラックスした状態で育ちます。この環境で育った牛の脂はオレイン酸の含有率が高く、融点が人間の体温よりも低い約25度〜28度で溶け始めます。食べた瞬間に舌の上でサラリと広がり、黒毛和牛特有のしつこさや胃もたれを感じさせない軽やかな口当たりこそ、石垣牛が絶賛される最大の理由です。
ブランドを保護するため、JAおきなわによる厳格な定義が設けられています。八重山郡内(石垣市・竹富町・与那国町)で生後約20ヶ月以上肥育された純粋な黒毛和種であり、日本食肉格付協会の規格で歩留等級A・B、肉質等級5〜1を満たしたものだけが「石垣牛」を名乗ることができます。さらに肉質等級4以上が「特選」、2〜3が「銘選」と明確にランク分けされ、徹底した品質管理が施されています。