熱田神宮の境内で最も注意を払わなければならないエリアが、本殿の真裏をぐるりと囲む神聖な散策路「こころの小径(こころのこみち)」です。2012年暮れに一般公開されたこの小径には、熱田大神の「荒魂(あらみたま)」を祀る一之御前神社(いちのみさきじんじゃ)や、水神を祀り美肌祈願で名高い清水社(しみずしゃ)が鎮座しています。
このエリアは熱田神宮における最高機密とも呼べる清浄な空間であり、現在も極めて厳しい規律が敷かれています。
第一の禁忌は、境内全域の中でも特に「こころの小径」内部での写真・動画撮影が全面禁止されている点です。スマートフォンの画面を向ける行為そのものがマナー違反であり、違反者には警備員や神職から厳重な注意が下されます。SNSへの安易な画像投稿が横行する現代において、デジタル機器を手放し、神前で静寂を守る心構えが強く要求されます。
第二の注意点は、立ち入り時間の制約と夜間参拝の危険性です。「こころの小径」の参拝時間は通常午前9時から午後4時までと厳密に区切られており、時間外は頑丈な門が閉じられます。一部のオカルト系サイトでは「深夜の熱田神宮は神秘的」などと煽る記述も見られますが、神道において夜間は「幽冥(ゆうめい)の世界」に属する時間帯であり、不用意に足を踏み入れるべきではありません。何より照明が限られた巨木の森であるため、転倒事故や防犯上の観点からも夜間の徘徊は明確に避けるべきです。
神殿を正しく巡る順序としては、正門(南門)から手水舎で身を清め、本宮にて二拝二拍手一拝の参拝を済ませた後に、静謐な気持ちで「こころの小径」へ進むのが正式な作法です。飲食の持ち歩きや大声での私語を慎み、神域への敬敬な態度を保つことが、不穏な噂を寄せ付けない最良の自衛策となります。