昭和から平成にかけて銭湯や給食でおなじみだった「コーヒー牛乳」や「フルーツ牛乳」という名前を、現在の店頭で見かけることはありません。なぜ大手メーカーの棚から「牛乳」の二文字が消え、「コーヒー入り乳飲料」へと表記が変わったのでしょうか。
発端となったのは、2000年に発生した大規模な集団食中毒事件でした。この事件を重く受け止めた消費者庁(当時・公正取引委員会および厚生労働省)は、消費者の誤認を防ぎ安全性を高めるため、2001年から2003年にかけて公正競争規約を大幅に改正しました。
「生乳100%ではない加工品に『牛乳』の文字を使うことは、消費者に純粋な牛乳であるかのような錯覚を与える」という判断が下され、商品名から「牛乳」の使用が全面的に禁じられたのです。その結果、以下のような改名が行われました。
- 「雪印コーヒー牛乳」 ➔ 「雪印コーヒー(乳飲料)」
- 「明治コーヒー牛乳」 ➔ 「明治コーヒー(乳飲料)」
- 「フルーツ牛乳」 ➔ 「フルーツ(乳飲料)」
コーヒーを混ぜた時点で「生乳以外の副原料を加えた飲料」となるため、乳等省令上の区分は必ず「乳飲料」になります。ただし、清涼飲料水に転落するわけではありません。乳固形分が3.0%以上含まれているため、法律上しっかりと「乳飲料」としての基準をクリアしています。