「セロリを買ってきたものの、スティックにしてマヨネーズをつけて食べるか、サラダに散らすくらいしかレパートリーがない」という声は料理現場で頻繁に聞かれます。しかし、栄養の吸収効率という視点に立つと、生食一辺倒の食べ方には明確な限界が存在します。
水溶性のカリウムやビタミンC、熱に弱い芳香成分(アピイン)を損なわずにそのまま取り入れたい場合、生のまま千切りにしてレモンや海藻と和えるスタイルは確かに理にかなっています。しかし、葉に大量に含まれるβ-カロテン、ビタミンE、ビタミンKといった脂溶性ビタミンは、生のまま水洗いで食べても腸管からの吸収率は10%未満にとどまってしまいます。
ここで威力を発揮するのが、油を用いた加熱調理とスープ化です。
葉を細かく刻み、オリーブオイルやごま油でさっと強火炒めにすることで、植物細胞の硬い細胞壁が熱で破壊され、脂溶性ビタミンが油に溶け出します。この工夫だけで、β-カロテンの生体内吸収率は50%〜70%以上にまで跳ね上がります。ちりめんじゃこや桜えびと一緒に炒めてふりかけにすれば、セロリの苦味も旨味に昇華され、子どもでも喜んで食べる一品に仕上がります。
さらに、編集部が最も推奨するのが「煮汁ごといただくスープ」です。加熱によって細胞から溶け出したカリウムや水溶性フラボノイド(アピゲニンなど)は、煮汁のなかに高濃度で残留します。セロリスープの栄養吸収率は極めて高く、肉類やトマト、タマネギと一緒に煮込んだミネストローネやポトフに仕立てれば、スープに溶け込んだ全栄養成分を一滴残らず体内に取り込むことが可能になります。これが、セロリの栄養を壊さない調理法における最適解です。