人類の歴史を紐解く上で、まず押さえるべきは「いつ、どのようにして私たちが他の霊長類と分かれたのか」という点です。約700万年前のサヘラントロプス・チャデンシスや約440万年前のラミダス猿人を経て、約400万〜200万年前に登場したアウストラロピテクス(猿人)の段階で、人類は決定的な一歩を踏み出しました。
それが直立二足歩行の理由とされる環境適応です。従来唱えられていた「サバンナに出て獲物を追うために立った」という仮説は、近年の森林環境化石の発見により修正を迫られました。現在有力視されているのは、森林の縮小と乾燥化が進む過渡期において、樹上と地上を行き来しながらエネルギー効率よく移動し、両手を自由にして食料運搬や子育てに充てるための適応だったという見解です。
自由になった手は道具(石器)を生み出し、肉食による高カロリー摂取が可能になったことで、脳容量の変化が劇的に加速しました。初期猿人の約400ccから、ホモ・ハビリス、ホモ・エレクトス(原人)を経て、私たちホモサピエンスでは平均約1,350〜1,400ccへと拡大を遂げたのです。