一見すると破天荒なナンセンスギャグに見える表現だが、その背景には高度な芸の骨格が存在する。上方落語協会の会長を長年にわたって務め、伝統芸能の最前線に立ち続けてきた桂文枝。彼の持つ間(ま)の取り方、体の崩し方、声の緩急は、すべて高座で培われた精緻な技術に基づいている。
古典芸能の深い素養と、テレビという大衆メディアが求めるストレートな笑い。この二つが奇跡的なバランスで融合したからこそ、数十年の時を経ても色あせない強靭なフックを持ち続けているのだ。現代の若者がこのフレーズに感じる「理屈抜きの面白さ」は、伝統芸能の洗練された身体性がもたらす必然の結果とも言える。