歴史をさかのぼると、公表によって世界中の意識を根本から変えた先駆者がいる。第40代アメリカ合衆国大統領のロナルド・レーガンだ。彼は1994年、国民に向けた自筆の手紙でアルツハイマー型認知症を発症していることを明かした。
元国家元首によるこの誠実な手紙は、それまで陰で語られがちだったこの病気に光を当て、世界的な啓発運動の大きな波を引き起こした。彼の告白をきっかけに、世界保健機関(WHO)や各国の研究機関で認知症研究への投資が飛躍的に増大することとなった。
日本においても、日本認知症学会などの専門機関が中心となり、研究やケア体制の整備が加速した。一人のリーダーの勇気ある決断が、医学・医療業界全体の進歩を何年も早めたと言っても過言ではない。