整骨院(接骨院)において健康保険が適用される範囲は、法律で厳格に定められています。厚生労働省の規定上、健康保険の対象となるのは「急性・亜急性期の骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷(肉離れ)」に限られます。日常生活から生じる単なる肩こり、慢性腰痛、筋肉疲労に対する施術は、全額自己負担の自費診療でなければなりません。
報道各社の取材データによると、ギオングループの店舗で行われていたとされる手口は、この制度の根幹を揺るがすものでした。来院した患者が訴えたのは「疲労回復」や「慢性的な肩こり」であったにもかかわらず、健康保険組合などへの請求書(療養費支給申請書)には「日常生活での転倒による頸部捻挫」「腰部打撲」といった架空の負傷原因を記載していたとされています。
これにより、窓口での支払いは数百円程度に抑えられ、患者側には「安くマッサージが受けられる良心的な整骨院」と錯覚させつつ、差額の公金を療養費として健康保険組合や自治体から詐取していた構図が浮き彫りになりました。患者が意図せず不正の片棒を担がされる構造であり、受領委任払いの白紙委任(サインだけ先に書かせる行為)が横行していた点も、元従業員の証言によって明らかにされています。