誰もが羨むおしどり夫婦として21年間の時を重ねた二人だったが、1994年、電撃的な離婚発表が日本中に激震を走らせた。不倫や金銭トラブルといったドロドロとした泥沼劇ではなかった。離婚の背景にあったのは、表現者としての譲れない「夢の方向性」の違いである。
千葉真一は50代を迎えてなお、ハリウッドへの挑戦という巨大な野望を抱いていた。活動の拠点をロサンゼルスへ完全に移し、本格的に世界市場へ打って出ようとする千葉。対して野際陽子は、日本国内での女優業の地位を確固たるものにしており、生活の基盤を日本から動かすことは現実的ではなかった。「夫の夢を応援したい、けれど自分の仕事と生活は日本にある」。苦渋の決断の末、二人は友好的な「卒婚」とも言える形で別々の道を歩む選択をしたのだ。