「岡山プラザホテルの跡地はどうなるのか」「再開発でタワーマンションが建つのか」という疑問も頻繁に囁かれています。しかし、敷地が更地になった事実も、解体工事が実施された事実も一切存在しません。現地の敷地には、白亜の外観が印象的なホテル本館が堂々と建ち並んでいます。
こうした解体説の根底にあったのが、建物の老朽化と耐震基準への適合問題です。岡山プラザホテルは半世紀を超える歴史を持つ建造物であり、旧耐震基準時代に設計された建築物を抱えるすべての老舗ホテルと同様、大規模な耐震診断および改修が義務付けられる対象となっていました。
一般的に、築50年を超える大型ホテルが耐震基準を満たすためには、数十億円規模の耐震改修工事を施すか、あるいは建物を解体して建て替えるかの2者択一を迫られます。地方都市の老舗宿がこの耐震改修費を捻出できずに閉館へ追い込まれる事例が全国で頻発していたため、不動産業界や地元金融機関の関係者の間で「岡山プラザホテルも解体・売却されるのではないか」という観測が生じたのです。
しかし、岡山プラザホテルが立地する場所には極めて特殊な地理的・法的制約が存在します。ホテルの目の前には国の特別名勝である岡山後楽園が広がり、旭川を挟んだ対岸には岡山城がそびえ立っています。この地域は厳格な景観保全地区および風致地区に指定されており、仮に解体して再開発を行おうとしても、建物の高さ制限やデザイン、用途に関して極めて厳しい規制が課されます。
つまり、都心部のように高層タワーマンションや巨大複合ビルを建てて投資を回収するビジネスモデルが成立しにくいエリアなのです。運営側は安易な解体・再開発を選ぶのではなく、既存の建物を適切に補修・耐震補強し、旭川沿いの豊かな水辺景観と調和した宿泊・飲食サービスを継続する道を選択しました。結果として、解体計画は噂の域を出ず、現役のホテルとしてその歴史を更新し続けています。