伝統芸能を固定された遺産としてではなく、現在進行形のエンターテインメントとして機能させる試みは常に続いている。江戸時代の芝居小屋の熱気を現代に再現する平成中村座の仮設劇場では、客席と舞台が一体となり、舞台奥の扉が開いた瞬間に借景の夜景が広がる演出などで観客を熱狂させてきた。
松竹株式会社との強固なタッグにより、古典の大作上演と並行して新たな演出手法や劇場体験の開拓が進行している。劇場という空間の制約すらも逆手に取り、若い世代や海外からの旅行者までも巻き込むそのエネルギーは、歌舞伎が今なお生き続ける大衆芸能であることを証明している。