日々の天候や季節の推移によっても、蜂の攻撃モードは劇的に変化します。特に注意しなければならないのが、雨天時特有の神経質な行動と、1日のうちで凶暴化する時間帯の真相です。
「雨が降っているから蜂は飛べず、安全だろう」と考えるのは典型的な誤解です。雨の日の蜂の行動パターンを分析すると、羽に雨粒が付着して飛行効率が落ちるため外洋採餌には出ず、巣の内部や周辺にとどまります。しかし、この状態は巣に外敵が近づいた際の「防衛密度」が最高潮に達していることを意味します。
巣に全戦力が待機している状態で振動や衝撃が加わると、警戒フェロモンが瞬時に巣全体へ充満し、雨の中であっても巣の直近数メートルにいる人間へ一斉に突撃してきます。雨具を着ているからと油断して庭木を剪定した住民が、葉裏に隠れていたアシナガバチの群れに襲撃される事故は典型例です。
1日の中で最も凶暴化する時間帯は、日光が完全に降り注ぎ、巣の代謝活動が最高潮に達する午前10時から午後14時前後です。この時間帯は幼虫への餌やりがピークに達しており、巣を出入りする働き蜂の数が最大化します。侵入者に対する警戒アンテナも極限まで研ぎ澄まされており、わずかな黒い影や整髪料の香りにも激しく反応します。
さらに見逃せないのが、年間サイクルにおける蜂の活動時期と危険なピークです。蜂の活動は5月頃に女王蜂が1匹で営巣を始める時期からスタートしますが、最も危険なのは8月下旬から10月中旬にかけてです。この時期、巣には新女王蜂と雄蜂が誕生し、巣の防衛本能は年間で最も先鋭化します。餌となる昆虫が減少する秋口は蜂全体の苛立ちも激しく、巣から10メートル以上離れていても威嚇なしで突撃してくる事例が報告されています。