「猟友会はおかしい」クマ駆除辞退と警察対立の真相と現場の悲鳴

「猟友会はおかしい」クマ駆除辞退と警察対立の真相と現場の悲鳴

猟 友 会 おかしい——そんな苛立ちを露わにした投稿が、連日のようにSNSやネットの掲示板に溢れ返っている。市街地に相次いで出没し、人身被害をもたらすツキノワグマやヒグマ。だが、地域の安全を守る砦として期待されるはずの猟友会が、自治体からの駆除要請を辞退したり、出動を拒否したりする事態が全国で続発したからだ。「市民を見殺しにするのか」という怒りの声が上がるのも、無理はないかもしれない。

だが、世間から「猟 友 会 おかしい」と批判される現象の裏には、個々のハンターを責めるだけでは決して解決しない構造的な欠陥が存在する。自らの命を危険にさらしながら、高額な弾薬費を自腹で払い、さらには法的リスクまで背負わされる——そんな悲惨な現場の実態を知る者は少ない。取材を進めると、長年にわたり野放しにされてきた日本の野生動物管理制度の歪みが、いよいよ破綻のときを迎えていることが見えてきた。

「猟友会はおかしい」と噂される背景|報酬問題や警察との対立、熊駆除辞退の真相

なぜ、ハンターたちは熊駆除の現場から身を引く決断をしたのか。噂の背景を探ると、まず浮き彫りになるのが極端に不条理な「報酬問題」と、命がけの作業に対する「警察との対立」である。

地域住民の命を守る出動でありながら、ハンターに支払われる日当は数千円程度。時給に換算すれば数百円というケースも珍しくない。しかも、出動に必要な弾薬代やガソリン代、車の維持費は基本的に自己負担だ。万が一、クマの反撃を受けて怪我をしても十分な補償はなく、死亡保険すら満足に整っていない自治体が存在する。出動すればするほど赤字になり、怪我のリスクだけを背負うのが現実だ。

さらに現場を絶望させたのが、現場の判断で発砲したハンターが、後から警察によって厳しく追及されるという警察との対立構図である。安全を確保した上での駆除であっても、警察側が「建物への危険性」などを理由に銃所持許可の取り消し処分を下す事例が発生した。地域のために命を張った結果、趣味の銃を奪われ、犯罪者扱いされる。こうした理不尽すぎる裏事情こそが、熊駆除辞退という苦肉の決断を全国に広げた真相にほかならない。

砂川市ライフル銃所持許可取り消し訴訟が決定づけた現場の恐怖

この対立と駆除辞退の連鎖を決定づけた象徴的事件が、北海道で起きた「砂川市ライフル銃所持許可取り消し訴訟」である。自治体および地元警察の要請に応じて出動し、害獣駆除のベテランハンターである佐々木洋裕氏がヒグマを射殺した。ところがその後、公安委員会は「バックストップ(弾丸を受け止める斜面)がない状態で建造物に向けて発砲した」として、同氏の銃所持許可を取り消したのだ。

この裁判は一審でハンター側が勝訴したものの、二審では一転して敗訴。この判決は、全国の狩猟者を束ねる組織である大日本猟友会の傘下支部における要請辞退の動きを一気に加速させた。「行政や警察から頼まれて熊を撃ったのに、後から警察に銃を奪われるのであれば、怖くて誰も引き受けられない」。ハンターたちの間に恐怖と絶望が広がった。

山口 彩花
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山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。