埼玉高校入試において、受験生を最も苦しめるのが「北辰偏差値と公立入試の乖離」および「内申点の算出比率」の2点です。受験指導の現場を取材すると、保護者や生徒が陥りがちな典型的なトラップが浮き彫りになります。
北辰テストは県内中学生の学力を知る極めて精緻な模試ですが、出題形式は標準的な公立入試問題に準拠しています。しかし、浦和、大宮、市立浦和、川越、春日部など県内上位22校の公立高校では、数学と英語において独自作成の発展問題である「学校選択問題」が採用されています。
学校選択問題の数学は、難関私立校に迫る思考力や空間図形の応用力が要求され、平均点が40〜50点台に沈むことも珍しくありません。現場の進路指導担当者は次のように証言します。
「北辰テストで偏差値70を取っていても、学校選択問題の過去問を解かせると30点台しか取れない生徒が毎年います。北辰の記号問題や典型題処理で稼いできた生徒ほど、思考プロセスを記述させる学校選択問題で大崩れする危険を孕んでいるのです」
もう一つの落とし穴が埼玉県高校の内申点計算です。埼玉県の公立高校入試では、中学1年・2年・3年の通知表成績がすべて調査書に記録され、合否判定に用いられます。学年ごとの評価比率は各高校によって定められており、例えば浦和高校は「1:1:2」、大宮高校は「1:1:2」、春日部高校は「1:1:2」または「1:2:3」など、3年生の内申点に傾斜がかけられます。
この計算ルールにより、中学1・2年次で通知表を軽視して内申30台前半だった生徒は、中学3年でオール5近くを取ったとしても、1年次からオール5を維持してきた生徒に対して大きなディスアドバンテージを背負います。埼玉高校入試の合格ボーダー(2026年)を突破するには、浦和や大宮であれば内申点42以上、当日得点400〜420点(500点満点中、学校選択問題採用校)が安全圏の一つの目安となります。