映画制作の心臓部であるポストプロダクション。密室で行われた最終編集のプロセスは、文字通りの戦場だった。フィルムの色調、音響設計のわずかな不協和音に至るまで、作家性を貫こうとする演出陣と、レーティングや上映尺を気にする出資サイドの間で連日怒号が飛び交っていたと伝えられる。
特に問題視されたのは、編集テンポの急激な減速だった。商業映画としての推進力を保ちたい映画プロデューサー陣は、上映時間を2時間以内に収めることを絶対条件として提示。これに対し、監督側は心理描写の間(ま)を削ることは作品の魂を売り渡す行為だと激しく抵抗した。編集室の片隅で密かにナンバリングされ、保管されていた複数のバリエーション――その筆頭こそが、今回流出した幻のテイク群だったのだ。