かつて遠隔転移を伴う子宮頸がんの進行期においては、プラチナ製剤を中心とする抗がん剤治療が主流であり、その奏効率や延命効果には限界が指摘されていました。しかし、日本婦人科腫瘍学会が策定する2026年最新のがん治療ガイドラインにおいては、薬物療法のレジメンが根本から刷新されています。
現在の子宮頸がんステージ4bに対する標準治療法の主軸は、従来のプラチナ系抗がん剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)+パクリタキセルに、血管新生阻害薬「ベバシズマブ」と、抗PD-1抗体「ペムブロリズマブ」などの免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた4剤併用療法です。腫瘍細胞におけるPD-L1発現(CPSスコア)を事前に検査したうえで投与され、大規模国際共同治験(KEYNOTE-826試験など)の長期追跡調査において、従来の化学療法単独群と比較して全生存期間の有意な延長が証明されています。
さらに二次治療以降の選択肢としても、抗体薬物複合体(ADC)であるチソツマブ ベドチンをはじめとする革新的な薬剤の実装が進んでいます。これにより、一度抗がん剤が効かなくなった子宮頸がんの再発・予後に関しても、無力感に苛まれることなく次の手を打てる臨床体制が確立されつつあります。
また、全身薬物療法と並行して行われる「局所に対する緩和的放射線治療」の重要性も高まっています。腫瘍からの持続的な大出血を止めるための止血照射や、骨転移に伴う激痛を数回の照射で劇的に抑え込む高精度放射線治療(SBRT)など、身体への侵襲を最小限に抑えつつ、日常生活を維持するための介入が積極的に行われています。