シミ対策において最も多くの人が陥る罠が、「シミの種類を見誤ったまま塗り薬を選んでいる」という点です。皮膚科学の知見に基づくと、顔に現れるシミには複数の全く異なる疾患が含まれています。
1つ目は、加齢と紫外線ダメージの蓄積によって生じる「老人性色素斑(日光黒子)」。境界線がくっきりとした円形に近いシミで、初期であればビタミンCやハイドロキノンが一定の効果を発揮しますが、年数が経ち盛り上がったものは脂漏性角化症(イボの一種)に移行しており、塗り薬では物理的に除去できません。
2つ目は、30代〜40代の女性に多発する「肝斑(かんぱん)」。左右対称にモヤモヤと広がるのが特徴で、女性ホルモンの変動や摩擦刺激が引き金となります。ここにハイドロキノンを力任せに塗り込んだり、強い力でマッサージ塗りを行ったりすると、かえってメラノサイトが活性化して悪化する危険があります。肝斑に対しては、トラネキサム酸配合の塗り薬と合わせて、ドラッグストアシミ治療薬第3類医薬品(トランシーノ ホワイトCクリアなどの内服ビタミン剤、または第1類医薬品のトランシーノEXなどの内服薬)による内側からのアプローチが医学的に推奨されます。
3つ目は、ニキビやかぶれの後に残る「炎症後色素沈着」。これは肌の炎症が治まった後にメラニンが一時的に残存した状態であり、美白有効成分とともに十分な保湿を行い、紫外線を徹底遮断すれば、数カ月から半年ほどで自然に代謝されていく傾向があります。