歴史の授業で誰もが暗記した「1192年」。源頼朝が征夷大将軍に任命されたこの年こそが、武家政権の幕開けだと信じられていた。しかし、1990年代後半から風向きが変わり始める。守護・地頭の設置など、実質的な支配権を確立した1185年を重視する見解が主流となり、教科書も書き換えられた。今や多くの若者にとって、幕府の誕生は「いい国」である。だが、これで決着がついたわけではない。
専門家の間では、一つの年号にすべてを押し込めることへの疑問が根強く残る。頼朝が朝廷から得た権限は多段階にわたっており、どの時点をもって「幕府の成立」と呼ぶかは、定義によって異なるからだ。