テレビ朝日が誇る木曜ドラマ枠において、本作は看板スターの演技派への脱皮を決定づける登竜門となってきた。中でも決定的な比較対象となるのが、2000年代と2010年代を代表する二大看板ドラマだ。
『黒革の手帖 (2004年のテレビドラマ)』で主演を務めた米倉涼子は、まさに圧倒的な威圧感と華やかさを放った。長身に映える艶やかな着物姿、獲物を射抜くような眼光、そして傲慢な男たちを徹底的に見下すドスの利いた低音ボイス。米倉版元子は、自らの足で泥沼を這い上がってきた野心的な肉食獣としての迫真性を持ち、ドラマは大ヒットを記録した。
対照的に、当時23歳の若さで大役に挑んだ『黒革の手帖 (2017年のテレビドラマ)』の武井咲は、冷徹な透明感と内に秘めた狂気で新風を吹き込んだ。清楚な美貌の奥底に見え隠れする底知れぬ凄み。年上の怪物たちを手玉に取る姿は、現代的な知性派ピカレスクヒロインの完成形と評された。世代交代とともに変化する銀座の空気感を反映しつつ、どちらの主演も唯一無二の存在感を放ち、歴代キャストの比較論争はファンの間で今も熱く語られている。