『タッチ』を語る上で避けて通れない最大の衝撃が、物語中盤における上杉和也の死です。地区予選決勝の朝、甲子園出場を目前にした和也は、道路に飛び出した子供を救おうとしてトラックにはねられ、帰らぬ人となります。連載当時、読者に凄まじい衝撃を与えたこの展開は、少年漫画の歴史に残る大事件となりました。
あだち充氏は後に、当初から和也が命を落とし達也がその意志を継ぐというプロットを決めていたことを明かしています。弟の遺志を背負う形でボクシング部から野球部へ転部した達也は、和也の影を追う周囲の視線や、自分自身の葛藤と戦いながらマウンドに立ち続けます。
「和也の代わり」ではなく「上杉達也」として甲子園を目指す決意を固めた達也は、天性の才能を開花させ、快速球を武器にチームを牽引。過酷なしごきや強力なライバルたちとの激闘を乗り越え、ついに明青学園を初の甲子園出場へと導くのでした。