本作の魅力を語る上で絶対に外せないのが、主人公フリーレンを演じる種﨑敦美の卓越した演技力だ。数千年の時を生きるエルフという、人間とはかけ離れた時間軸を持つ存在の抑揚を抑えた声色の中に、かすかな感情の揺らぎや温もりを宿らせる声の表現は、視聴者の心を揺さぶり続けている。
アフレコ現場からの証言によれば、種﨑は一言のセリフに対して幾通りもの微細なニュアンスを試行錯誤し、監督や音響監督との緻密な議論を経て収録に臨んでいるという。感情を露わにしないフリーレンが、ふとした瞬間に見せる優しさや切なさがこれほどリアルに届くのは、彼女の圧倒的な探求心と声優としての凄みの賜物にほかならない。