この事件が単なる「ケアレスミス」で片付けられず、社会的批判を浴びた最大の要因は、ミスを正す機会が試験直後から3回もあったにもかかわらず、すべて大学組織の内部で握りつぶされていた点にあります。
公式発表資料および当時の調査委員会報告書によると、外部指摘のタイムラインは以下の通りです。
- 2017年6月(1回目の指摘):予備校関係者(駿台予備学校の講師ら)が開催した問題検討会において疑義が生じ、大学側に設問の成立性について最初の指摘が届けられた。
- 2017年8月(2回目の指摘):高校の物理教員から、問題文の条件設定の不備と別解の成立可能性に関する詳細なレポートが送付された。
- 2017年12月(3回目の指摘):外部の物理教育関係者から、文部科学省および大学側へ再度の検証を求める強い要請が行われた。
これら3度の警告に対し、学内の出題担当教授陣は「設問に誤りはない」「高校物理の範囲を超えた深読みである」と決めつけ、外部の意見を真摯に精査することなく門前払いにしました。学内レビューが「出題に関わった当事者グループ」だけで行われており、第三者の視点が入らない密室的な意思決定システムが、過ちを認める機会を奪い続けた決定的な理由です。