本作の最大の引力は、脚本家・宮藤官九郎が当て書きした実力派俳優陣の凄まじい化学反応にあります。物語の軸となるのは、1987年生まれの「ゆとり第一世代」のアラサー男子3人。彼らを取り巻く人間関係は、職場、家庭、恋愛、教育現場が複雑に交錯する緻密な設計となっています。
坂間正和(演:岡田将生)は、食品メーカー「みんみんホールディングス」の営業マンから居酒屋チェーン「鳥の民」へ出向となり、のちに実家の造り酒屋「坂間酒造」を継ぐ主人公。真面目で正義感が強い反面、プレッシャーに弱く優柔不断な等身大の青年です。
山路一豊(演:松坂桃李)は、阿佐ヶ谷の小学校で学級担任を務める心優しき教師。周囲からの信頼は厚いものの、童貞であることをこじらせており、教育現場のモンスターペアレントやコンプライアンスの波に常に振り回されます。
道上まりぶ(演:柳楽優弥)は、東大合格を目指して11浪中の風俗店スカウト(のちに中国へ留学)。型破りで粗暴に見えながら、誰よりも鋭い洞察力と情の深さを持ち、正和と山路の背中を強引に押し続けます。
脇を固めるキャスト陣も主役級の演技派ばかりです。正和の同期であり強い絆で結ばれた妻・宮下茜(演:安藤サクラ)、正和をパワハラで訴えかける超合理主義の後輩・山岸ひろむ(演:仲野太賀)、正和の妹・坂間ゆとり(演:島崎遥香)、山路のクラスの教育実習生・佐倉悦子(演:吉岡里帆)、そして街のレンタルおじさん・麻生巌(演:吉田鋼太郎)。この多士済々な面々が、日常の些細なボタンの掛け違いから大騒動へと発展させていくテンポの良さは圧巻の一言です。