「魂が肉体を抜け出す」という主観的な感覚は間違いなく実在しますが、客観的な事実として肉体から非物理的なエネルギーが抜け出ているわけではありません。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のオラフ・ブランケ博士(Olaf Blanke)らによる先駆的な脳機能研究によって、幽体離脱の神経学的基盤はすでに解明されています。 鍵を握るのは、大脳の側頭葉と頭頂葉が交わる「側頭頭頂接合部(TPJ: Temporo-Parietal Junction)」と呼ばれる領域です。TPJは、視覚、触覚、深部感覚、そして内耳から送られてくる前庭感覚(重力や体の傾きを感じるセンサー)を統合し、「自分の体は今ここにあり、この境界線の中に収まっている」という自己身体定位(Embodiment)をリアルタイムで構築しています。 てんかん患者の術前検査などでTPJ付近に微弱な電気刺激を与えると、被験者は即座に「自分が天井に浮かび上がり、下にある自分の体を見下ろしている」という強烈な体外離脱感覚を報告します。つまり、何らかの理由で視覚情報と前庭感覚の統合処理が狂った瞬間、脳は「見ている視点(天井)」と「触覚を感じている肉体(ベッド)」を別物として再構築してしまいます。これが幽体離脱の正体であり、脳が作り出す高度な知覚統合エラーに過ぎないことが実証されています。
幽体離脱の真相と科学的根拠|金縛り・明晰夢との違いと危険性を解明
•
•
1分で読める