地震が発生した瞬間、最初に感じる小刻みな揺れと、その後に襲いかかる激しい揺れ。この二段階の揺れには、地下の断層破壊から放たれる2種類の地震波が深く関係しています。気象庁や地震工学の公式データが示す通り、この現象を理解する鍵はP波(Primary Wave=初期微動)とS波(Secondary Wave=主要動)の性質の違いにあります。
P波は進行方向と同じ向きに媒質が伸縮を繰り返す「縦波(疎密波)」です。地下の硬い岩盤を秒速約5〜7kmという高速で駆け抜けるため、観測地点に真っ先に到達します。地下深くで起きた地震の直上では、突き上げるような初期微動として体感されるのが特徴です。
一方、私たちが最も警戒すべき「横揺れ」の主犯であるS波は、進行方向に対して直角に媒質がずれる「横波(ねじれ波)」です。その速度は秒速約3〜4kmとP波の半分程度にとどまります。この速度差によって、震源から離れるほどP波が届いてからS波が届くまでの時間(初期微動継続時間)が長くなります。緊急地震速報は、この高速なP波を震源近くの地震計が捉えた瞬間に発令され、遅れてやってくる破壊的なS波(横揺れ)への警戒を促す仕組みになっています。
建造物に対して圧倒的な破壊力を持つのはS波による横揺れです。一般的な住宅やビルは地球の重力を支えるため上下方向(圧縮)の力には強い耐性を持っていますが、左右へのせん断力(水平方向の力)に対しては柱や接合部が歪みやすく、限界を超えると倒壊に至るリスクが跳ね上がります。