話は1970年代後半にさかのぼる。当時、志村けんが仲の良いスタッフや芸人仲間と飲み屋で酒を汲み交わしていた時のことだ。宴会が佳境に入ると、酒代の支払いや罰ゲームを決めるために「じゃんけん」が始まるのが世の常だった。しかし、酔っ払い同士の勝負となれば、掛け声のタイミングが合わず、あいこが続いてなかなか勝敗が決まらない。
「みんなの手を一度そろえさせないと勝負にならない」。そう感じた志村けんが、その場で思いつき「全員、最初はグーだぞ!」と音頭をとった。拳を引いて一拍置く。この一見単純な解決策こそが、日本人のコミュニケーションを永久に変えた瞬間にほかならない。酒場のちょっとした工夫が、国民的ルールの種となったのだ。