オカルト史の中で最も異彩を放つ植物といえば、間違いなくマンドラゴラだろう。引き抜く際に恐ろしい悲鳴を上げ、それを聞いた者は狂死するという伝説で知られるこの植物は、根が人型に似ることから古くから呪術道具として重宝された。
実際のマンドラゴラは、スコポラミンやヒヨスチアミンを豊富に含む有毒なナス科植物だ。古代から中世にかけて鎮痛や鎮静、さらには催眠薬として利用されてきた。幻視や多幸感をもたらす神経毒性を持つため、黒魔術の儀式に使われる怪しい植物というイメージが定着したのだ。伝承の毒性と実際の薬効が交錯する点こそ、怪異と科学が背中合わせだった時代の象徴と言える。