津田健次郎さんの代名詞といえば、一度聴いたら脳裏から離れないハスキーで色気のある低音ボイス(イケボ)です。しかし、彼の声の凄みは単に耳心地が良いというだけに留まりません。吐息の混ざり方、台詞と台詞のあいだに置く絶妙な「間」、そしてキャラクターの内面に潜む哀愁や狂気を一瞬で滲ませる繊細なコントロール力にあります。
洋画の吹き替え(吹替)においても、コリン・ファレルやカイロ・レン(アダム・ドライバー)など、複雑な葛藤を抱える実力派俳優の声を長年担当。原音の俳優が持つ息遣いや感情の機微を完璧に汲み取りつつ、日本語としての響きの美しさを極限まで高めるアプローチは、洋画ファンからも高い評価を得ています。
「声だけで演じているのではなく、身体全体で感情を立ち上げている」と語る通り、津田さんの声には生身の人間が持つ温度と重みが宿っています。静かに語りかける囁き声から感情を爆発させる咆哮まで、声帯の響きひとつで劇中の空気を一変させる支配力こそが、彼がトップ声優として君臨し続ける最大の理由です。