なぜ世界最高峰のドライバーが、緩やかな左コーナーであるタンブレロを直進してしまったのか。その事故原因をめぐっては、長年にわたり「ドライバーのステアリングミス」「路面のバンプ(凹凸)によるボトムアウト」「タイヤの内圧低下」「マシントラブル」など複数の仮説が対立しました。
イタリア検察当局は過失致死の疑いでウィリアムズのテクニカルディレクターであったパトリック・ヘッドやデザイナーのエイドリアン・ニューウェイらを起訴。2007年5月にイタリア最高裁判所が下した最終審理において、事故の主要因は「ステアリングシャフトの設計変更および不十分な溶接加工による金属疲労破断」であると結論付けられました。
1994年シーズン、セナはウィリアムズFW16の極端にタイトなコクピットに不満を訴えており、ステアリングの位置を手前に引き寄せるようチームに強く要求していました。これに応えるため、チームは既存のシャフトを切断し、径の異なる細い金属パイプを継ぎ足して溶接する急遽の改造を実施。この接合部に応力が集中し、タンブレロ進入時の高G(横加速度)に耐えきれずに破断、操舵不能に陥ったと法廷で認定されました。