2003年の初夏、日本中は空前のt.A.T.u.ブームの渦中にあった。デビュー曲「All the Things She Said」が世界各国のチャートを席巻し、日本国内でもユニバーサルミュージック主導のもと爆発的なセールスを記録。女子高生制服風の衣装とセンチメンタルなメロディ、そして同性愛を匂わせるセンセーショナルなPVは、当時の洋楽ポップスシーンにおいて圧倒的な存在感を誇っていた。
事件が起きたのは、テレビ朝日系列で生放送されていた「ミュージックステーション」の番組内である。番組冒頭のオープニングコールに応じ、階段を下りてカメラに笑顔を見せていたふたり。しかし、出番直前になって楽屋から一向に出てこなくなった。番組スタッフが必死に説得を試みるも、ドア越しに帰ってきたのは「歌いたくない」という冷淡な拒絶だった。