フロントマンである草野マサムネが書く独特の世界観は、常に生と死、日常と非日常の境目を漂っている。「チェリー」においても、軽快なリズムに乗せて語られるのは、戻らない過去への愛おしさと、未知なる明日へ向かう不確定な希望だ。「二度と戻らない」時間を受け入れる覚悟こそが、草野文学の神髄と言える。
あえて直接的な表現を避け、メタファー(隠喩)を巧みに散りばめることで、聴く者ごとに異なる情景を思い描かせる空間が生まれる。彼が選ぶ一語一語は、聴き手の心の傷口にそっと触れ、優しく包み込む不思議な手触りを持っている。